がん性疼痛マネジメントツール「痛み見守り隊」
がん性疼痛を有する外来患者を対象としたオフラインの自己管理モバイルアプリケーションを開発し、それを用いた外来通院中のがん性疼痛患者のセルフマネジメントを高めるための看護支援プログラムを開発しました。
研究課題名
モバイルアプリケーションを用いたがん性疼痛セルフマネジメント看護支援プログラム:モバイルアプリケーションのユーザビリティ調査研究責任者
入退院支援室 がん看護専門看護師 奥出 有香子研究分担者
順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック科・准教授 臼井 千恵研究の意義と目的
痛みを経験するがん患者は、がんと診断された時点で30%、末期がんにおいては60~70%と報告されており(世界保健機関・編. 1996.)、がん性疼痛をコントロールすることは、患者のQOLを維持する上で必要不可欠です。WHOは1986年にがん性疼痛治療指針(WHO,1987)を発表し、国内でもWHO方式がん性疼痛治療法により、鎮痛薬を主体とした治療法が導入となり、がん性疼痛の治療が大きく発展しました。さらに、2007年4月にがん対策基本法が施行され、日本国内に緩和医療の普及・啓発が図られてきました。しかし、榊原(榊原.2014)の研究では、がん性疼痛を有しているがん患者の中で治療により無痛となっている者は約10%にすぎない実態が明らかにされ、さらに、がん性疼痛を抱える患者の割合は入院よりも外来で高いことも明らかにされています。つまり、このことは外来通院中のがん性疼痛患者が、がん性疼痛をセルフマネジメントできるような看護介入が必要であることを意味しているといえます。がん性疼痛を有する外来患者を対象としたオフラインの自己管理モバイルアプリケーションを開発し、それを用いた外来通院中のがん性疼痛患者のセルフマネジメントを高めるための看護支援プログラムを開発しました。今回開発したモバイルアプリケーションが、がん性疼痛を有する外来患者にとって使いやすいアプリケーションかユーザビリティ調査が必要不可欠であり、よりよいアプリケーションとするための課題を明らかにすることを目的としています。
臨床研究方法
がん性疼痛のためオピオイドを内服し、現在痛みのコントロールができている外来通院中の方で、スマートフォンを使用することができる20歳以上の方が対象となります。研究実施期間
2022年6月15日~2022年12月30日被験者の保護
本研究に関係するすべての研究者はヘルシンキ宣言及び人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に従って本研究を実施いたします。個人情報の保護
この研究にご参加いただいた場合、あなたから提供された情報などこの研究に関するデータは、個人を特定できない記号化した番号により管理されますので、あなたの個人情報が外部に漏れることは一切ありません。また、データはセキュリティー管理されたクラウドシステムに一時保存しますが、データを回収した後はすぐに厳重に管理されたハードディスクに移行します。なお、この研究で得られたデータは、研究終了後にはすべて廃棄いたします。その際も、個人情報が外部に漏れないように十分に配慮いたします。利益相反について
本研究は、2021年度科研費基盤研究(c)の研究費で行っております。アプリケーション開発・保守などをメディカルローグ株式会社に依頼し、クラウドシステムによるデータ管理のセキュリティーに関してはニフティ株式会社に管理を依頼していますが、研究の実施、解析、報告に係わることはありません。また、本研究の研究責任者および研究分担者は、「順天堂大学利益相反マネジメント規程」に従い、利益相反マネジメント委員会に必要事項を申告し、その審査と承認を得ています。お問い合わせ
順天堂大学医学部附属練馬病院 がん治療センター〒177-8521
東京都練馬区高野台3-1-10 03-5923-3111