出生前診断について

出生前診断について

1.  先天異常について

胎児の約3~5%には何らかの先天異常が認められます。染色体異常はそのごく一部(約0.92%)です。染色体異常があっても合併症や発達の程度には個人差があり、以下の検査だけで重症度を予想することはできません。


2. 出生前診断に対する当院の基本方針

  1. 妊婦さんの主体的選択の尊重
    出生前診断は、妊婦さんやご家族が希望された場合に情報提供を行うものです。検査を受けることも受けないことも、いずれも尊重されるべき選択です。当院がNIPT (非侵襲性出生前遺伝学的検査)認証施設として検査を提供していることは、検査が「必要」や「推奨」であることを意味しません。
  2. 出生前診断の限界
    出生前に赤ちゃんの状況を完璧に把握する方法は存在しません。以下の点にご留意ください。
    • 初期スクリーニング(超音波検査)やNIPTは非確定的検査であり、陽性の場合は羊水検査などの確定検査が必要です。
    • すべての検査には偽陽性・偽陰性の可能性があります。
    • 超音波検査は胎児の向きや羊水量、母体の体格などにより制限があります。
    • 各検査は特定の染色体異常や疾患のみが対象で、すべての異常を検出できるわけではありません。
    • 心疾患、代謝性疾患、発達障害など、出生後に初めて分かる疾患も多数あります。
  3. 染色体異常を持つ方々の生活と支援
    染色体異常を持つお子さまも、適切な医療・療育・教育支援のもとで成長し、社会生活を送っておられます。発達の程度や健康状態には個人差が大きく、一律に予測することはできません。当院では小児科・新生児科との連携、療育機関や福祉サービスの紹介、情報提供を行っています。
  4. 情報提供と遺伝カウンセリング
    出生前診断に関心をお持ちの方には、各検査の目的・方法・精度、リスク、結果の意味と検査の限界、検査後の選択肢と支援体制、検査を受けない選択肢について十分に説明いたします。遺伝相談外来をご予約ください。

3. 出生前検査について

  1. 遺伝カウンセリング
    NIPT、羊水検査実施前には、遺伝カウンセリングを受けていただきます。月曜日午後に開設しています(予約制)。出生前診断全般、検査の選択、染色体異常を持つお子さまの生活や支援、検査結果後の選択肢、その他遺伝的な心配についてご相談いただけます。お一人でも、ご夫婦・パートナーとご一緒でも、ご利用いただけます。
  2. 初期スクリーニング検査(超音波検査)
    妊娠11~13週に超音波で赤ちゃんの染色体異常のリスクを調べる検査です。首の後ろのむくみ(NT)・鼻骨・血流などを評価します。この検査は確定診断ではなく、異常所見がなければNIPT、異常所見がある場合は羊水検査をお勧めすることがあります。超音波検査ですので、助成券が利用できる場合があります。
  3. NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)/当院は日本医学会により登録された認証施設です
    当院では、妊娠10週0日以降に行っている採血検査です。約7mlの血液から母体血中の胎児DNA断片を分析し、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べます。
    【陰性の場合】
    どの年齢層でも、いずれのトリソミーにおいても陰性的中率は99.99%以上です。ただし、1万人に1人以下の割合で偽陰性があります。
    【陽性の場合】
    年齢が若いほど、また21トリソミーより18・13トリソミーの方が、陽性的中率が低く、偽陽性の可能性が高くなります。結果の意味や羊水検査などの確定的検査を受けるかなどについて、自ら判断できるように遺伝カウンセリングを行いながらサポートします。
    ※陽性的中率(年齢別)
    年齢 21トリソミー 18トリソミー 13トリソミー
    25歳 79.3% 48.1% 16.7%
    30歳 85.3% 58.4% 23.3%
    35歳 93.6% 77.9% 43.2%
    40歳 98.2% 92.9% 73.8%
    42歳 99.0% 95.9% 83.9%
    【判定保留の場合】
    0.3~0.4%の確率で判定保留となることがあります。遺伝カウンセリングで今後の方針(再検査、羊水検査等)を相談します。
    NIPT説明動画】遺伝カウンセリング前にご視聴ください。(Genetech株式会社提供)
  4. 羊水染色体分析(羊水検査)
    妊娠15週ごろ(16週以降が望ましい)より可能な検査です。お腹に針を刺し羊水を採取し、胎児の染色体を分析します。さまざまな染色体が関連する病気があるか、ないか、わかる確定診断となります。侵襲的検査であり、合併症として流産、破水、出血、腹痛、子宮内感染、早産などがあります。流産に至る確率は0.2~0.3%(1/300~1/500)と報告されています。

4. 費用について

  • 費用は変更になる場合があります。詳しくは外来でお問い合わせください。
  • NIPT実施の際は、検査前に遺伝カウンセリング料5,500円(税込)が発生します。
  • NIPT実施後に確定的検査の目的で行う羊水染色体分析は無償で行います。(入院費は発生します。)
  非確定的検査 確定的検査
検査の種類 初期スクリーニング検査
(超音波検査)
NIPT
(非侵襲性出生前検査)
羊水染色体分析
実施時期 11週~13週 10週~15週 15週~
費用(税込) 助成券あり:費用負担なし
助成券なし:5500円
170,500円
(結果説明料込)
約160,000円
※トリプルマーカーテスト、クアトロテストは現在、当院では行っておりません。