小児整形外科
小児整形外科 診療内容の紹介
私たちは、子どもの運動器疾患の予防・治療に全力を尽くします。お子さんの保護者の気持ちに寄り添います。
年齢制限はありません。小児期からの疾患を大人になるまで責任を持って診療します。
<対象症状>
下記のような症状に対して、原因疾患をしっかり検査して対応いたします。
歩き方がおかしい(脚をひいている・つま先で歩く・よたよた歩く)
足が変形している
首が傾いている
何回も骨折している
子どもの怪我・骨折
あしを痛がる
なかなか歩かない
あしの長さが違う
<対象疾患>
(先天性)乳児股関節脱臼/発育性股関節形成不全
先天性内反足
筋性斜頸
O脚/Blount(ブラウント)病
X脚
大腿骨頭すべり症
ペルテス病
骨折後変形治癒(骨折のあとの変形)
骨形成不全症、くる病、軟骨無形成症などの骨系統疾患
若年生骨粗鬆症
環軸関節回旋位固定
円盤状半月板/半月板損傷
など
<行なっている手術>
(先天性)乳児股関節脱臼/発育性股関節形成不全
乳児期はリーメンビューゲル(Pavlik harness)と呼ばれる装具で治療します(図1)。股関節がとても硬い赤ちゃんは、リーメンビューゲルだけで治療をすると骨頭壊死を起こす可能性が高くなってしまうため、牽引治療を併用し、安全に行います。
なるべく手術を避けるため、あいち医療センターと同様に 生後7ヶ月以降はオーバーヘッドトラクションという牽引治療を行っています。
亜脱臼や寛骨臼形成不全が、改善せずに残ってしまった場合には、5-8歳ごろにSalter(ソルター)骨盤骨切り術(図2)を行います。
★当院の小児整形外来には年齢制限がありませんので、5-8歳で手術すべきか判断に迷う場合は、その後慎重に経過観察をして、必要になった時期(痛みが出てきた時期)に寛骨臼回転骨切り術(RAO)(図2)や棚形成術を行うこともできます。
なるべく手術を避けるため、あいち医療センターと同様に 生後7ヶ月以降はオーバーヘッドトラクションという牽引治療を行っています。
亜脱臼や寛骨臼形成不全が、改善せずに残ってしまった場合には、5-8歳ごろにSalter(ソルター)骨盤骨切り術(図2)を行います。
★当院の小児整形外来には年齢制限がありませんので、5-8歳で手術すべきか判断に迷う場合は、その後慎重に経過観察をして、必要になった時期(痛みが出てきた時期)に寛骨臼回転骨切り術(RAO)(図2)や棚形成術を行うこともできます。
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Ponseti法で治療しています。リンク先の教科書がわかりやすいので是非ご覧になってください。ほとんどのお子さんが、赤ちゃんの頃にギプスを巻いて、小さな手術をして、4歳まで寝るときに装具をつけるだけで、不自由なく運動ができるようになっています。
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5-6歳で胸鎖乳突筋を、鎖骨の近くで切離しています。傷はほとんど目立たなくなります(図4)。この年齢より早いと、再発しやすいと言われています。術後のリハビリと装具治療を行うことで、良好な成績を得ています。傾いていた姿勢も改善します。(図5)
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幼児期(歩き始めた頃)に足が湾曲しているのは、「生理的」ではなくビタミンD不足が原因かもしれないことを、われわれの研究*で明らかにしました。まずは、ビタミンDやカルシウム不足がないかどうかお話を聞いて、栄養について、一人ひとりに応じた指導をさせていただいたり、必要であればビタミンDのサプリメントをお勧めしています。
ブラウント病やくる病、骨系統疾患(先天的な骨の病気)との鑑別もしっかり行っています。病気の原因に応じて治療を行います。
装具治療:2歳後半から3歳以上になっても悪化していく場合は、写真のような装具(器具:図6)を使うこともあります
手術治療:くる病など骨系統疾患が原因の場合は、手術治療を行うこともあります。年齢に応じて骨端成長抑制術(guided growth法)や矯正骨切り術などを行なっています。
*Sakamoto Y, Ishijima M, Nakano S, Suzuki M, Liu L, Tokita A, Kim SG, Shimizu T, Kaneko K, Nozawa M: Physiologic leg bowing is not a physiologic condition but instead is associated with vitamin D disorders in toddlers. Calcif Tissue Int 106:95-103, 2020
ブラウント病やくる病、骨系統疾患(先天的な骨の病気)との鑑別もしっかり行っています。病気の原因に応じて治療を行います。
装具治療:2歳後半から3歳以上になっても悪化していく場合は、写真のような装具(器具:図6)を使うこともあります
手術治療:くる病など骨系統疾患が原因の場合は、手術治療を行うこともあります。年齢に応じて骨端成長抑制術(guided growth法)や矯正骨切り術などを行なっています。
*Sakamoto Y, Ishijima M, Nakano S, Suzuki M, Liu L, Tokita A, Kim SG, Shimizu T, Kaneko K, Nozawa M: Physiologic leg bowing is not a physiologic condition but instead is associated with vitamin D disorders in toddlers. Calcif Tissue Int 106:95-103, 2020
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膝関節や足関節が柔らかく、扁平足が合併していることがあるため、足底板(インソール)を処方することもあります。原因を慎重に見極めます。原因疾患があり、なかなか改善しない場合は骨端成長抑制術(guided growth法)を行うこともあります。
大腿骨頭すべり症
まずは、診断が大切です。小学校高学年から中学生で、周りの子に比べて成長が遅めだったり、体重が重かったりする子に多いです。歩くときに膝から太ももが痛かったり、「そとわ」(ガニまた、外また)で歩くようになったりすることに注意して、早期発見する必要があります。変形の程度によって、1本のpinだけで固定する場合(図7)と、大腿骨骨切り術を併用する場合(図8)もあります。つまずくなどの些細なきっかけで、急激に痛くなり、歩けなくなってしまった場合、緊急手術が必要なことがあります。
成人期に変形性股関節症に移行する可能性が高いため、当院では生涯にわたって股関節に対するご相談に乗っていきます。
成人期に変形性股関節症に移行する可能性が高いため、当院では生涯にわたって股関節に対するご相談に乗っていきます。
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Perfusion MRIを用いて、骨頭の血流を評価しています。この方法で、骨頭が潰れる前に血流が乏しいことがわかれば、早期に手術を行うこともあります。基本的には装具治療を行います。手術は、重症度に応じて様々な治療を組み合わせています(図9)。
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小児期に、骨の石灰沈着がうまくいかない病気です。O脚やX脚になることが多いです(図10)。栄養不足が原因の場合が多く、栄養不足の程度によって、nativeのビタミンDか活性型ビタミンDを投与して治療します。FGF23関連の遺伝性のくる病には特効薬が使えるようになりました。多くの病院が内科で薬を処方し整形外科が足の曲がりなどを治療するので2ヶ所の診療が必要になりますが、当院では整形外科が診断からお薬の治療を含めて網羅的・多角的に治療を行なっています。もちろん、内科とも必要に応じて連携をとっています。曲がってしまって薬に反応しない脚に対しては手術も行なっています(図11)。当院には年齢制限がないため、成人になっても診療を継続することが可能です。小児病院を卒業した方も、当院で受け入れております。
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骨の芯であるコラーゲンに異常のある遺伝性の病気で、骨が弱く、骨折しやすい病気です。生涯にわたって、寄り添う治療が必要です。普段から、骨密度や血液検査で骨の状態を観察し、必要な場合はお薬の治療を行っています。小学生からは、入院の必要がないように、外来で点滴治療を行なっております。急な骨折への時間外対応や、骨折に対する積極的な手術が必要なことが多い疾患です(図12)。当院では、救急対応を行なうことも、年齢制限なく治療を継続することも可能です。
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当院では「小児・AYA世代ボーンヘルスケアセンター」も併設されており、骨が弱い・曲がっているお子さんに対して、お薬の治療を含めて整形外科が網羅的・多角的に治療を行なっています。小児期はpeak bone massという、人生の最大の骨量を得るために大切な時期です。どんな疾患であっても、18歳までにできるだけ骨を強くしておくことが大切だと考えています(『みんなのからだの骨のはなし』)。
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みんなのからだの骨のはなし
環軸関節回旋位固定急に首が痛くて動かなくなった場合、治るまで、まずは安静にしましょう。1週間で治らなければ入院での牽引治療が必要なことがあり、対応しています。曲がったまま数週間すると、骨が変形してくることがありますので、注意が必要です。
その他、骨折後変形治癒、良性骨腫瘍(外骨腫・骨軟骨腫、線維性骨異形成症、単純性骨のう胞など)の治療も行なっています。
<行なっている手術>
股関節:観血的整復術、骨盤骨切り術(Salter法、Pemberton法など)、・大腿骨骨切り手術、寛骨臼回転骨切り術(RAO)、棚形成術など膝関節:膝蓋骨制動術
足:内反足に対する腱移行術
麻痺性疾患(尖足、関節拘縮など):筋解離術、腱延長術
多合指症に対する手術
筋性斜頸手術
下肢アライメント不良に対する手術:骨端軟骨発育抑制術、骨延長術、骨短縮術、矯正骨切り術(高位脛骨骨切り術、閉鎖式節状骨切り・髄内釘固定術)
など
小児整形外科担当医の外来
医師名 | 職位・役職 | 専門分野 | 認定・専門医 |
坂本 優子 群馬大学2000年卒 |
准教授 | 整形外科一般 骨代謝性疾患 小児整形外科 |
日本整形外科学会専門医・指導医 日本小児整形外科学会 日本骨代謝学会 日本股関節学会 |
日 時 : 水曜日・木曜日、 午前・午後
担 当 : 坂本優子
まずは、お近くのかかりつけの先生にご診察いただき、医療機関からのご予約は、地域医療連携室へ。
紹介状をお持ちの患者さんからは、予約センター(平日のみ13:00~16:00 TEL:03-5923-3240)でご予約を承っています。
予約なしでご来院された場合には、診療できない場合がございますので、ご予約いただいたうえで、ご来院いただきますようお願いいたします。